電波と屋上

2020/12/22

40歳を目前にして、かけがえのない友人を得るということがあるなんて、思ってもみなかった。出会いは知人の紹介という至ってふつうのもの。だけど、話せば話すほど話し足りなくて毎日チャットで話している。旧知の仲に私が入っていく形になったにも関わらず思考に用いる言語が近いから、「あああれね」「そうそう」で理解できてしまう。近いだけなら、もしかするとここまで交わることはなかったかもしれない。彼と彼女の作り出すものの素晴らしさに、私は惚れてしまったのだ。だから私も毎日絵を描いたり文章を書いたりして、お弁当のように見せ合い、食べ合いっこをする。おいしくて、彩りがあって、たまに未知のものが入っていて、レシピを教えてもらったりする。そしてまた、明日も食べたいと思う。学校の秘密の屋上のような場所で、電波に乗せて。