少年サウダーヂ/ロクエヒロアキ

もしも、神様がもう一本のくじ引きのチャンスを、生きているうちに与えてくれるとするならば、神父という職業に就くことを夢想する。中学校の教室の隅に置かれた掃除用具入れほどのいわゆる告解室に入り、一人一人の罪状に耳を傾ける。彼らは仔細に、あるいは曲解を持って私に吐き出し、語りかけるだろう。それらの一つ一つに私は赦しを与え、立ち上がって帰る背中に光を見る。どんなに残虐で冷酷で同情の余地がないものであるとしても、どこか甘さを見出し、さあもう一人来ないかと小窓越しに来訪者を待つ。いつの間にか、その立場が反転し、甘い罪状を少年たちに具に並べている年老いた私の姿を目の当たりにするのだ。あぁなんと人とは罪深き生き物だろうか。