はるはる

2021/4/12

毎年3月は年度末仕事が重なり、ヒィヒィ言いながら峠を越える。ひどい年には桜を見る余裕もなく過ぎ去ることもあった。今年はもうそんな過ちは犯さない。仕事はたしかに山積みだけど、今見なければいけない景色がある。それはとても大きな理由になるのだということを、ここ数年でようやく理解した。実家の桜は散っていたけど、産毛をふわふわとさせたふるさとの山々の姿を、今年も拝むことができて満足だったし、あのむせかえる土の匂いも蛙の鳴き声と共に胸に溜め込んでこれた。それでも週末は体調が底辺にあって、できれば人にも会いたくないし、外にも出たくない気持ちだった。本は相変わらず積まれたまま。不思議と忙しくなると「読みたい」から「読まねばならない」に気持ちが切り替わってしまい、しんどさを感じる。自分の時間ぐらい自分の心に従えよと紅茶を啜って、背伸びをしてから、ふと『進撃の巨人』を読み返すことにした。実は20巻以降はまだ手につけられていなかった。15巻ぐらいから読み返して、エレンのそばへようやく戻れた。ヒストリアが「人類」か「エレン」かどちらを選択するシーン。なんだかそれって、今の私の仕事にも通じるよなと思う。「社会的」にいいことをしているようなものであっても、その同じ課題の扉の前で困っている人がいることを知った時、本当にこれであっていたんだろうか?と暗い気持ちになることがある。もちろんできることは限られているし、小さい動きは世の中を変えることはできないかもしれない。それでも「わたし」と「あなた」という人が関わったものの中で生きていたいと思うのは、子どもなんだろうか?